ファシリテートGの「かわうち」です。
今回はPIMBOKの活動領域の中の計画パフォーマンス領域についてお話します。
PIMBOKにおける計画の目的は"プロジェクト成果物を作成するための手法"と"進捗の評価のための基準"を事前に決めることだとされています。
またプロジェクトの規模によって計画に費やす時間は異なりますが、規模に限らず考慮すべきことは、財務的な影響、社会的な影響、環境への影響です。
○計画変数(計画策定に影響を与えるもの)
計画策定には様々な変数要素があるため、ここでは代表的なものと留意事項を紹介します。
①開発アプローチ どの開発アプローチを採用するかは、プロジェクトの計画に大きな影響を与えます。
予測型
適応型
ハイブリッド型
②プロジェクト成果物 以下の例の通り、成果物も計画に影響を与えます。
建築物:予測型が太宗であり、綿密な計画が必要
ソフトウェア:適応型やハイブリッド型も含め採用した開発アプローチに合わせた計画が必要
③組織の要求事項
組織のガバナンス、方針、プロセス、文化によって、作るべき成果物が異なる可能性があります。
④市場の状況
例えば競争が激しく、短い期間で製品・サービスを送り込まなければならない場合は、アジャイル開発などの適応型アプローチを採用する必要があります。また人的・物的資源の調達のしやすさも、市場の状況によって変化します。
⑤法律や規制による制約
計画策定前には、これから開発する製品・サービスに関する法律や規制を確認し、プロジェクトの制限がないかを調べる必要です。例えば国の審査が必要な場合は審査の手続きや期間も計画に織り込む必要があるためです。
⑥見積もり
計画における重要な作業の1つ。プロジェクトでは作業工数や所要期間、コスト、人員、物的資源など、さまざまな見積りが必要です。
⑦スケジュール
見積り結果を踏まえてスケジュールを見積もっていきます。
○活動結果の評価
PIMBOKによれば、計画パフォーマンス領域で実施した活動が効果を上げた場合は以下のような状態になります。
プロジェクトは、組織化され、調整され、計画的に進む。
プロジェクトの成果を提供するための総合的なアプローチがある。
プロジェクトの進展に伴い、実施目的である成果物と成果を生み出すために、情報が詳細化される。
状況に見合った時間を計画に費やす。
計画情報は、ステークホルダーの期待をマネジメントするのに十分である。
新たなニーズ、あるいはニーズや状況の変化に基づいて、プロジェクト期間を通じて計画を適合させるプロセスがある。
つまり、以下のような問いをプロジェクト・チーム内で考えながら、計画パフォーマンス領域の効果をチェックすることが必要です。
計画通りか否かを判断する、プロジェクトのベースラインなどの測定基準が設けられているか?
デリバリー・スケジュールや資金調達などの計画が、全体的な方法で立てられているか?
計画と成果物は整合しているか?
プロジェクトに応じたプロジェクト計画書やプロジェクト文書が作成されているか?
ステークホルダーの期待をマネジメントできる計画が立てられているか?
変更管理の計画が立てられているか?
○まとめ
今までは精度の高い計画を作成すればプロジェクトは成功するという予測型アプローチを前提にしたものが多く、PIMBOK第6版までは予測型アプローチを前提とした記載が中心でしたが、計画の変更が想定されている適応型アプローチやハイブリッド型アプローチが採用されるようになるにつれ、プロジェクトマネジメントの中の計画の比重は小さくなっています。
しかし依然として計画がプロジェクトマネジメントで重要な存在であることは変わらず、優れた計画がプロジェクトの計画には不可欠です。
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